PROGRAM

ART / アート

  • ART
  • MUSIC
現代美術展『パノラマ庭園 -亜生態系へ-』
アッセンブリッジ・ナゴヤは5年目を迎えます。アート部門は「パノラマ庭園」をテーマに名古屋港エリアを変容しつづける庭に見立て、プロジェクトを通じて、まちという生態系の一部としてその変化への応答を試みてきました。造園家ジル・クレマンが著作『動いている庭』で提示した「できるだけあわせて、なるべく逆らわない」(山内朋樹訳、2015年)という態度に共感し、まちでのアートプロジェクトを実践してきたと言い換えることもできます。

新型コロナウイルスが蔓延する今、多くの人がまちやフェスティバルに訪れることが困難になりました。フェスティバルは日常の生活圏を多くの人で賑わう非日常のハレの舞台へと開くものでしたが、この状況下でフェスティバルのあり方自体が問われています。一方、大きな美術館や劇場でない、まちなかの小さな空き家を主な会場とするアッセンブリッジ・ナゴヤで、実施すべきフェスティバルの規模や方法を改めて模索しています。

5年目として区切りとなる今年、もう一度原点に立ち返ることから始めたいと考えました。それは「つくる/うまれる場所」としての港まちです。アーティストが滞在し、創作に打ち込める場が港まちには複数あります。この5年間で、空き家を少しずつ整備し活動や制作の拠点としてきました。いくつかは既に解体され、またかたちを変え別の場所に移動しています。変化を受け入れつつ、これまで異なるアーティストが接木をするようにさまざまな活動をこのエリアで展開し、小さな手入れ(メンテナンス)を重ねてきました。
「できるだけ合わせて、なるべくさからわない」を基底としつつも、「パノラマ庭園」はまちや人の暮らしに介入していく試みでもあります。美学者で庭師の山内朋樹は「ありふれた草花や鉢植えがそこにあることが、失調した世界に、わずかばかりの秩序をあたえている」(1)状態を、「亜生態系」と呼び、パンジーのように一見凡庸な外来種がプランターに植えられている情景が、人びとに不思議な落ち着きを与えることを肯定します。港まちの状況はここで描かれている情景に近いものでしょう。

混沌のなかに小さな秩序を生み出すように、意志を持って創造し、「オープンエンド(おわりなき過程)」「境界をまたぐ」「移動と交換」「ポイエシスとミメーシス(制作と再現)」などをキーワードに、それぞれのアーティストのプロジェクトを「パノラマ庭園」として展開していきます。

(1)山内朋樹「なぜ、なにもないのではなく、パンジーがあるのかー浪江町における復興の一断面」『アーギュメンツ#3』2018年(P.15)

企画|服部浩之、青田真也、吉田有里


EXHIBITION
現代美術展『パノラマ庭園 -亜生態系へ-』
“PANORAMA GARDEN”

10.24(土)–12.13(日)